2014/02/18

エゴはピーナッツ

こちらのつづきです。




<オプラ>

手術前、自宅に戻ってからも
自分が誰なのか分からなかったのですか。

「私」はジルという名前で、科学者で、
ここは自分の家で、これは私の家具で...など

そういう感覚は戻らず
エゴは消え去ったままだったのですね。



<ジル>

ええ、そうです。
「私」という感覚はずいぶん長い間
戻ってきませんでした。

手術前の2週間半
そして手術後の2週間半も
完全な静けさの中にいたのです。

自分が誰なのか、
どんな職業なのか、
何をしなければならないのか、

そんな脳のおしゃべりが全くない。

実にすばらしいものでしたよ。

  

ゆったりとして 平安で 完全で 壮大で...
自分の身体も 周りの景色も すべてが
うっとりするほど鮮やかにイキイキとしている。

して身体はうまく動かないにしても
生きているという驚異...

とてつもない幸福感に包まれて
満面の笑みでソファに座っていました。

   

平安とは思考が消え去った状態です。

そしてそれは
私たちが選択できることなんですよ。



<オプラ>

エックハルト・トールは
精神的な傷のことを「ペインボディ」と呼んでいますが
あなたはペインボディを失ったのですよね。


<ジル>

そういうことです。

実は左脳の機能が回復してから数年後に
ペインボディが戻ってこようとしたのですが
私は拒否しました。
 
ペインボディが引き起こす身体の感覚が
好きではないからです。

不快な感情というのは
まさに身体的な痛みとして感じるのですよ。



<オプラ>

脳卒中から回復してから

ペインボディという重荷を背負うか背負わないか
選択するようになったのですね。

古いお荷物だけではなく
新たなお荷物もつくらないようにする。

どのようにして
そんな選択ができると分かったのですか?


<ジル>

不快な感情によって生じる身体感覚が好きではないので
そういう回路を選ばないようにしたのです。

すべては神経回路なんですよ。   

たとえば悲しいことを考えたら
のどが締め付けられるように感じたり
身体的に不快な感覚が起こるでしょう。

   

そういう感覚が好きじゃないので
そのような回路が働かないようにすることを
ただ選んでいるだけです。


いいですか

脳というのは単に
細胞のかたまりなんですよ。

脳細胞を小さな子供たちだと思ってください。

いろんなグループがいろんなゲームをしていますが
       おっかけっこ
一緒に遊びたいようなゲームをしている子供たちもいれば
参加したくない種類のゲームをしている子供たちもいます。

参加したくないゲームにはNOと言えばいいだけです。
誰でもできることなんですよ。

         



<オプラ>

じゃあ、あなたはもう決して
古いお荷物を背負うことはないのですか。

白紙の状態なんですね。


<ジル>

そう。白紙なんです。

でも
何の概念も記憶もないということではないんですよ。
今では新しい左脳が機能しているのですから。

左脳は物事を判断をしますが
生きていくためには必要なことです。


         


<オプラ>

脳卒中を起こすことなく
あなたのように生きるにはどうすればいいのでしょうか。


<ジル>

エックハルト・トールのメッセージと同じです。
思考に気を付けることです。

思考はあなたではありません。

あなたの思考は
ピーナッツほど小さな細胞の集まりが創り出しています。

   豆

多くの人々は
そんなちっぽけなピーナッツに
人生を支配させているのですよ。

この世界で安全に生きるために
小さな細胞の集まりが「物語」を語るように設計されている。

それだけのことなんです。
そのことに気付いてください。



         


<オプラ>

「自分」という感覚が何もない
解脱の境地を
今でも感じることはできるのですか?


<ジル>

もちろん、いつもです。

         


<オプラ>

エックハルト・トールは
「いま」だけが重要なのだと言っていましたが

あなたの体験も
「いま」以外のときが無くなる
という状態だったのですね。


<ジル>

そのとおりです。

おもしろいことに
私の「いま」の体験は次のような感じでした。


たとえば
今こうしてあなたとの会話を体験していますが

私があなたに背中を向けたとたん
あなたはもう存在しないのです!!

記憶の中を通り過ぎるもしれませんが
実際のあなたは消え去ります。

    
この瞬間と次の瞬間とをつなぎあわせて
知覚に連続性をもたせて物語を創るのは
左脳の働きなので

その機能を失うと
一瞬前の過去さえ存在しないのですよ。

         



<オプラ>

瞑想はしていますか?


<ジル>

いいえ。必要ありません。

思考というものは単に
脳の小さな細胞のおしゃべりだと分かっていて

そんなおしゃべりを聞くかわりに
いまの瞬間に耳を傾けていれば
そこに平安はあるのですから。


         


’私という個人的な感覚、 自我(エゴ)’


あなたは
それが自分だと感じているかもしれませんが
違うんですよ。

それはあなたではなく
左脳の細胞の集まりです。

そんなピーナッツほど小さな細胞の集まりを
取り除いてしまえば
もうエゴはいないんですよ。

そして エゴがいなくなっても
あなたは存在するのです。

         



<オプラ>

そのピーナッツみたいな脳細胞は
記憶や思考を作っているんですか。
何のためにあるんですか?


<ジル>

物語を語る部分というのは
脳にとって
とても大切な機能なのです。

世界からあれこれと情報を拾い集めて
可能性を探ります。

その機能のおかげで私たちは
未来や現在を自由に行き来して
この世界で創造的に生きることができるのです。

でも同時にその機能が
厄介な感情の原因にもなるわけですね。



<オプラ>

その細胞を
手術で取り除いたらどうなりますか?



<ジル>

言語機能を失うでしょう。

困りますよね。
言葉は必要でしょう。

物語を創り上げること、つまりエゴは
私たちが言語機能を持つことの代償なのです。



         



思考はあなたではありません。

それは脳を調べても絶対的な真実なんですよ。

私たちの多くは
左脳の細胞の集まりを「自分」と決めつけていますが

それは
子供の頃そのようにしか教わらなかったから。

それだけのことなのですよ。





   うさぎ の画像




0 件のコメント:

コメントを投稿

☆コメント投稿後すぐには表示されず、管理者が確認した後に表示されます。
宣伝・誘導・記事の内容と無関係なコメント等は公開されない場合があることをご了承お願いします。
(初期の型のiPhoneからはコメント投稿できないことがあるようです)